北極のペンギンたちについて

北極のペンギンたちについて

アイドルの概念とアイドルの語るアイドル論が好き

北極のペンギンたちについて

なぜ「流星」ではなく「彗星」なのか?

初めて『彗星の空』という曲名を聞いた時、流星ではなくて彗星なのが何となく珍しいような気がしていた。

実際JASRAC作品データベース検索サービスを利用して「流星」がタイトルに含まれる曲を調べると1802件ヒットするが、「彗星」がタイトルに含まれる曲は302件に留まる。(いずれも2023.4.3調べ)圧倒的に「流星」の曲の方が多いことが分かる。

星空を流れるものの中で、わざわざ作曲者が流星ではなく「彗星」を選択したのには強い意図があったと考えるのが自然だ。

 

では、(『この星のHIKARI』や『NEW WORLD』での光や暗闇への言及を考えれば「光」とか「星」とがキーワードになるのは比較的自然であるとして)「彗星」でなければならない必然性はどこにあったのか。

 

前提として歌詞中の比喩を中心にざっくりとメッセージを確認しておこう。

暗い夜を過ごしていた(暁を“待っていた”ということは夜)中で空に輝いた彗星を手がかりに、その軌跡を追いかける中でぼくら(= SixTONESは出会った

一度は未来図は散ったけど(バカレア組が解散になったことなどを想起させる)またあの彗星の軌跡に合流した

ぼくらはこれからもあの星を信じて追いかけて、この先の奇跡を目指してまだ見ぬ景色を見るために歩んでいく

このように見ていくと、(奇跡と軌跡の音が同じだからということだけでなく)単に彗星の光そのものというよりは、夜空に輝く「彗星の行く先」という部分の方こそキーワードであるように読むことができる。

 

ではその彗星はどこへ向かうのだろうか。

彗星のコマや尾が目立って観測され始めるのは、彗星が太陽からおよそ1天文単位前後 、つまり地球の軌道程度まで近づいてからです。彗星が太陽に近づくほど本体から放出されるガスや塵の量が多くなるため、コマは明るくなり、尾も明るく長く伸びます。

彗星 | 国立天文台(NAOJ)より引用

彗星そのものの軌道は様々なようだが、地球から観測できる軌跡という部分に絞って考えると太陽に向かっていくものが明るく輝いているらしい。「あの星の行く先」は太陽ということになる。

一方の流星は、

宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて大気と激しく衝突し、高温になってチリが気化する一方で、大気や気化したチリの成分が光を放つ現象です。

流星群 | 国立天文台(NAOJ)より引用

とのこと。夜空に輝いた後は燃え尽きて地球上に落ちてしまう。

これらを踏まえて考えると、「光」や「星」そのものではなく「軌跡」をキーワードにそれを追いかけていくという歌詞である以上、その行く先が流星のように地球の大気圏では困るのだ。

明るく輝く太陽へ向かう彗星を追いかけると歌ってこそ意味があるということになる。

そもそも「なぜ流星ではなく彗星なのか」という問い自体ナンセンスだったのかもしれない。

『彗星の空』とは、明るく地球を照らす圧倒的な太陽へと向かうSixTONESの、通過地点としての現在を描いた曲なのではないかというのが私の現時点での解釈である。

かけがえのない仲間を得て、暗闇の中で見た明るい彗星の軌跡を頼りに進む彼ら。太陽に近づけば近づくほど明るく輝くようになるという性質にまでその姿を重ねているとしたら、これから先SixTONESの輝きがさらに増していくようにという願いも込められていると読むこともできるかもしれない。

一方で、太陽に到達したら消えてしまう彗星そのものに重ねるのではなく、ぼくら(=SixTONES)をあくまでもそれを“追いかける存在”として終始徹底して描いてくださったのも嬉しい。

 

彗星の空 願いよただ

ぼくらを導いてくれるかい?

間違いなど無い 信じるその先

叶う奇跡 この目で見届けたい

『彗星の空』NAOKI 2023より

 

「これがラストチャンスで後がない」という若干ネガティブなニュアンスを孕んではじまった“最後”が、いつしか「この6人・このチームでこの先もずっといたい」という最高にポジティブな“最後”の夢になっている。

あの星の行く先を目指す彼らの奇跡のような旅に、今偶然か必然か参加することができている幸せを噛み締めながら、teamの一員としてこれからも同行できたらと思う。

teamSixTONESにすすめたいCreepyNutsの楽曲 追加リンク集

 

ali-0416.hatenablog.com

 

こちらのブログの最後で触れた楽曲のリンクまとめです

 

⒈ シラフで酔狂

シラフで酔狂

シラフで酔狂

結成して最初に作られた楽曲

松永さんの独特なトラックが光ります

 

⒉ リライト


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アジカンの名曲リライトをリライトした『リライト』

曲の方はAKG TRIBUTEというアルバムから聴けます 試聴もあります↓

www.sonymusic.co.jp

⒊ ちょっとだけバカ

 


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餓鬼レンジャーとのコラボ 気持ちよく韻を踏みつつバカエピソードを告白しています

テスト前に聞くと気持ちが軽くなります

松永さんも一言だけ発しています笑

 

⒋ ばかまじめ


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Ayaseさん・幾田りらさんとのコラボ

こちらのライブバージョンも最高


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⒌ 土産話


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アルバム『Case』の最後に入っている曲

土産話

土産話

CreepyNuts結成前のRさんの楽曲『R.I.P.』を松永さんが最後に擦っているところも込みで聴いてほしい(時間指定済)

youtu.be

R.I.P.

R.I.P.

  • R-指定
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

 

⒍ 紙様

紙様

紙様

紙幣が変わる前に聴いていただきたい(そしてできれば新バージョンもリリースしてほしい)

 

⒎ ぬえの鳴く夜は


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個人的に1番好きな言葉遊び

楽器の縁語でつなぐのが天才的

 

⒏ 生業


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TFT版の鬼気迫る雰囲気に圧倒される

RさんのMC込みで味わえるライブバージョンはこちら↓


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生業

生業

  • provided courtesy of iTunes

 

⒐ 友人A


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A〜Zまでのアルファベットが見事に入れ込まれています こちらの動画がわかりやすい↑

(2023/04/13追記) この曲のMVが公開されました こちらもぜひ!


www.youtube.com

友人A

友人A

  • provided courtesy of iTunes

 

 

10. あゝオオサカdreamin'night


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ヒプノシスマイクのどついたれ本舗へ提供された楽曲

あゝオオサカdreamin'night

あゝオオサカdreamin'night

  • provided courtesy of iTunes

 

+α  音を超えろ!!ソニ韻ックブーム

youtube.com

オフィシャルファンクラブCLUB Creepy Nuts内で見られる動画の予告編なのですがこれだけでも元気がない時もひとしきり笑えます

本編も面白いのでぜひ(作家に福田さんが入っています)

 

おまけ  SixTONESANNのスペシャルウィークでの楽曲紹介バトルで挙げていた曲

個人的にはこのコラボの予習として聴いた一週前の SixTONESANN(松村回)で沼落ちしているので印象深い回でした

⒈ 阿婆擦れ


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HIPHOPを女性に見立ててHIPHOP愛を歌っています

ちなみに1曲目にSixTONES側が紹介していたのは『So Addicted』でした

樹さんのリリックをRさんがベタ褒めしていた記憶

試聴はこちらから↓

NEW ERA | SixTONES(ストーンズ) Official web site

 

耳なし芳一Style

耳無し芳一Style

耳無し芳一Style

  • provided courtesy of iTunes

スキルフルなボースティング曲 翌年のアルバム曲デジタルタトゥーと合わせて聴きたい

デジタルタトゥー

デジタルタトゥー

  • provided courtesy of iTunes

 SixTONES側の2曲目は『Coffee & Cream』

放送時はSixTONESを一気に履修していてちょうど1STを聴き込んでいた時期だったのでこれアルバムで聴いた曲だ!と思ったのを覚えています笑

試聴はこちらから↓

1ST | SixTONES(ストーンズ) Official web site

⒊ かつて天才だった俺たちへ


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MVはブログ本編に貼ったのでこちらにはファーストテイク版も

ラジオ並みのゆるいトークからバチバチかますの最高

 SixTONES側の3曲目はうやむやでした Rさんも知っていたと言っていた曲


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以上、「本編と合わせると6000字超になってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました!

teamSixTONESにすすめたいCreepyNutsの楽曲6選

以前書いた沼落ちブログでも触れたように私はCreepyNutsが SixTONESANNにゲスト出演したのがきっかけでSixTONESに落ちた人間なので SixTONESとCreepyNutsの関係性には一際思い入れがありまして…深夜ラジオリスナーのSixTONES沼落ちブログ - 北極のペンギンたちについて

teamSixTONESの方がCreepyNutsを聴いてみるきっかけになったら嬉しいなと願いつつ、“アイドル” SixTONESHIPHOPユニット”CreepyNuts交わる点や対照的な点に着目して6曲選んでみました

よろしければぜひ!

後半にいくにつれて徐々に私情強めな選曲になっています笑

 

 

SixTONESと関わりのある(或いは勝手に関わりを感じている)曲6選

⒈ かつて天才だった俺たちへ


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まずはこちら、フジテレビさんに大感謝のFNSでのコラボが実現した楽曲!

JASRACにないので引用は避けますが冒頭のフリースタイルも樹さんらしくて素敵でしたよね

Creepy Nuts、SixTONES田中樹の対応力を絶賛 コラボ歌唱に感慨「光栄すぎる」 | ORICON NEWS

この辺りのアルバム表題曲系は入りやすく、かつ詰め込まれたRさんの技術も感じられるのでおすすめ

悩めるだけ悩め

時が来たらかませ

風まかせ どっちみち茨のway

I wannabe a 勝者 wannabe a 強者

まだ見ぬ高みへ駆け込み乗車

背中を押しつつもRさんらしい優しさが感じられるリリックです

MVも“先代プリウスでドリフト”という、「平凡な私たちでもまだ何者にもなれる」という歌詞のメッセージに添った演出になっているので注目です

韻が気になった方はかんそうさんの熱い解説をぜひ…!

www.kansou-blog.jp

[https://www.kansou-blog.jp/entry/2020/08/17/180654:title

 

たりないふたり


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森本くんが『だが、情熱はある』に出演するということで、こちらもぜひ一度聴いてみてください

この曲はCreepyNutsのふたりが山里さんと若林さんによる同名の番組『たりないふたり』のオマージュとして作った楽曲で、CreepyNutsとしての初めてのアルバムの表題曲でもあります

後にリリースされたデジタルタトゥーと聴き比べるといかに“リアル”を大切にしているかが見えてくると思います

 

デジタルタトゥー

デジタルタトゥー

  • provided courtesy of iTunes

 

⒊ 板の上の魔物


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これは人人人と聞き比べると更に面白くなる楽曲です

板の上に立つ気持ちを、自らの手で歌詞を書いて歌うラッパーが表現するとこうなるというのを感じられるはず!

佐伯さんからの提供曲として、緊張でどうかしそうな舞台裏をとびきり楽しそうに歌い上げた“アイドルSixTONESの『人人人』と比較しながら聴くと改めて双方の良さを実感できると思います

SixTONES – 人人人 [PLAYLIST -SixTONES YouTube Limited Performance- Day.6] - YouTube

 

言葉遊びも流石のRさんで、例えば

俺の感受性ならば尾崎
世界観なら底なし
武、水谷、馬並みの相棒が助太刀

尾崎豊尾崎世界観武豊(→馬)、水谷豊(→相棒)というとんでもない言葉遊びを意味を繋げながらこなしています

相棒が助太刀、に合わせて松永さんのスクラッチが入るのもポイント

 

⒋ オトナ

オトナ

オトナ

『オトナ』は以前髙地くんのすごさを語った際に“生活”の難しさのくだりで引用したこともある楽曲

髙地優吾と生活 - 北極のペンギンたちについて

ジャニーズアイドルは少年性を求められている故かよく周囲のスタッフの方々のことを“オトナ”と呼びますが、この楽曲リリース時のCreepyNutsも(一種の自分達と対になる存在としての)“オトナ”を歌っていました

次のアルバムの表題曲である『のびしろ』では

悪者扱いして来た街で
悪者扱いして来たオトナへ
変わりゆく俺、鏡の中へ
尋ねても答えならyeah yeah yeah

括れやしなかったわ

たったの三文字で

と歌うようになったことまで含めて、“オトナ”とは何だろうと考えながら聴きたい楽曲です

Creepy Nuts / のびしろ【MV】 - YouTube

 

⒌ パッと咲いて散って灰に


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CreepyNutsのオールナイトニッポンが終わるタイミングで樹さんがラジオでかけていた曲です

MBSの第94回センバツのテーマソングでもあります

バトルで勝ち上がってきた(ライバルを押しのけてここまできた)Rさんならではの、勝負する者への優しく強いエールを歌っています

選曲理由は樹さん本人にしか分かりませんが、数多いるJr.の中からふるいにかけられ続けて辞めていくたくさんの同期たちを見ながらもここまで続けてきた彼だからこそ、共感できる部分があったのかなと勝手に想像してしまいます

1万字インタビューと合わせて聴きたい楽曲

 

⒍ SOS! feat. Creepy Nuts


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andropとのコラボ楽曲

「ねえ樹、これどんな気持ちで聴いているの?」と聞きたくなるレベルの陰キャ爆発ソング

バラエティ番組で頻出の例のジャニーズJr.のパリピ海集合写真を眺めながら聴くとまた違った趣があります笑

海で泳ぐ奴サメに食われろ

肝試しに行く奴は呪われろ

があまりにパンチライン

この頃のCreepyNutsらしさがポップに出ている曲です

(むしろ北斗さんが好きそう、ふまパラで最高の夏をやっていたのは知っているけど…笑)

SixTONESの『PARTY PEOPLE』をこの後で聴くことで、陰キャvs陽キャ(圧倒的陰キャの敗北)からの陽の全力夏エンジョイソングという流れを楽しめます

SixTONES - PARTY PEOPLE - YouTube

 

ちなみに樹さんに感想を聞きたい曲3選はこれと、Bad Orangezと、未来予想図です

高校時代友達がたくさんいてクラスの一軍で、今は休日は1人で十分だと語る樹さんを見るたびにBad Orangezの「哀しい目をしてたっけな…」を想起します(歌詞そのままというわけではないけど)

Creepy Nuts / Bad Orangez【MV】 - YouTube

未来予想図はRさんが「強がりに聞こえるかもしれないけど本心で書いている」という話をしていたのが印象的で、“生涯上手くなり続けてカマし続ける”ことを目標に掲げているCreepyのふたりと、ずっと6人で〜と下り坂も含めて肯定的に語るSixTONES6人の未来予想図とつい重ねてしまいます この曲は特にライブ映像の方をぜひ↓

【LIVE】Creepy Nuts / 未来予想図 - YouTube

 

 

 

番外編:キムタクとCreepyNuts

Yes, I’m

youtu.be こちらの動画の冒頭の曲です

CreepyNutsは木村拓哉さんに楽曲提供したこともあり、アルバムリリースプレミアムイベントにも参加し唯一アニキム(兄貴+キムタク)呼びを公認された関係です笑

Creepy Nuts、木村拓哉への呼び名は“アニキム”に 本人の“公認”をラジオで放送 | ORICON NEWS

その際の曲が『Yes, I’m』

キムタクファンでもあるRさんがキムタクの過去作のタイトルやエッセンスをこれでもかと歌詞中に詰め込まれており、「キムタク」というキャラクターを存分に活かしたボースティング曲になっています

 

⒉ ポーカーフェイス

ポーカーフェイス

ポーカーフェイス

キムタクに楽曲提供することになるとは本人たちも想像していなかったであろう頃の楽曲のリリックに「キムタク」が出てきたこともあります

それが、ゴスペラーズトリビュートアルバム『BOYS meet HARMONY』の中のポーカーフェイスという曲です

的を得ない会話 

静寂包む部屋

時計の針だけtic-tic-tac

ああ降りてこい俺の中のキムタク

ガラじゃないかこんなロマンティックな歌

キムタクと「tic tac」「ロマンティック」で韻を踏みながら原曲の「時計の針だけ tic tac」をサンプリングしつつ、原曲のオトナな恋愛の駆け引きの模様を、自分達らしい恋愛初心者のドギマギした歌に書き換えるという高度なことをしています

 

 

 

 

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ここまで独断でteamSixTONESに勧めたいCreepyNutsの楽曲を紹介してきましたが、Sixにちなんで6曲に絞る過程で泣く泣く削った曲も大量にあったのでこちらもぜひ聴いてみてください

結成して最初に作られた松永さんのトラックが光る『シラフで酔狂』

アジカンの名曲リライトをリライトした『リライト』

餓鬼レンジャーとコラボした『ちょっとだけバカ』

Ayaseさん・幾田りらさんとコラボした『ばかまじめ』

結成前のRさんの楽曲R.I.P.を松永さんが擦る『土産話』

紙幣が変わる前に聴いていただきたい(そしてできれば新バージョンもリリースしてほしい)『紙様』

個人的に1番好きな言葉遊びの『ぬえの鳴く夜は』

TFTの鬼気迫る感じもたまらない『生業』

A〜Zまでのアルファベットを見事に入れ込んだ『友人A』

ヒプノシスマイクどついたれ本舗に提供された『あゝオオサカdreamin'night』

等々… これらのリンクはこちらにまとめました

 

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SixTONESにCreepyNutsが楽曲提供する日を心待ちにしています!

SONYさんお願いします!どうか!

もっと欲深いことを言うと、SixTONESがいつかトリビュートアルバムを出すようなアイドルになって、Creepyが参加する展開を密かに期待しています

 

青ソニさんのインタビューを読んで ツイートまとめ

「宣伝もエンターテイメントだ」。SixTONESのA&Rを担う、通称“青ソニ”が、ヤバイデビュー曲「Imitation Rain」について語る。【スタッフが語るヤバイ曲】 – THE FIRST TIMES

 

 

少年からの「卒業」 SixTONESから感じる健全さ

SixTONESが(恐らく)少クラから卒業するということで、大分前に「少年」と「卒業」についていろいろ考えたことに追記しつつブログにしてみました。明らかに違うだろみたいなところがありましたらご指摘ください…

 

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ジャニーズアイドルたちには「少年」性が求められているというのはある程度共通の認識である。(実際、「少年」を連想させる名前の作品やグループ名がたくさんある。今回SixTONESが卒業するのも“少年”倶楽部である。そのせいか、彼らはアラサーになっても周囲の人々のことを「オトナたち」と呼ぶ。)

「大人」とは日常や権力の象徴であり、それと対になる「少年」とは非日常(SHOW)の象徴である。社会に擦れる前の無垢な輝きを放つ、大人の庇護(あるいは支配)を受ける存在としての「少年」。

(七三分けを嫌っていたのは社会人を連想させるからかも)

 

本来であれば、少年の輝きは一時で、いつかは成長し社会に出て大人になっていってしまう。1人の人間として自立していくのと同時に、社会に揉まれるうちにすり減りいつしか少年特有の美しさは失われてしまう。他の大抵の美しいものたちと同様に、少年というのは儚さと常にセットである。少年からの卒業とでも言うべき普遍的な現象である。

 

アイドルという「プロの少年」を作り出し卒業という制度がない(卒業することはあっても最初から制度として設計され想定されているわけではない)グループに所属させている仕組みには、そうした少年からの卒業を避けてその夢を永遠にしようという意図もあったのではないか。

実際のところ完全には少年の成長を止めることはできないが、(皮肉なことに芸能界という大きなお金が動き、幼い頃からプロとして仕事をしている少年たちは、外の人々よりもずっと早く内面的に成長していく傾向すらある。)少年時代を共有した仲間との「グループ」という特殊な空間は、少年の残り香を定期的にアイドルたちに供給し部分的に少年性の継続を図る装置として一定の効果を有しているように思う。

 

しかしながら、グループに卒業という制度がないことの意味付けについて、その中に閉じ込められた当のアイドル自身は、上述とは異なる解釈をしているのではないかと感じられる時がある。具体的には「老いも含めたグループというストーリーが半永久的であるということを、ファンとの間で誓い、信じ信じさせる余地を残すためのもの」というものである。グループに卒業の仕組みがないことで、老いていくことも想定した上で、それでもこのグループはこの先も続いていくのだという(少なくともその瞬間においては嘘ではない)約束に実効性をもたせることができる。

SixTONESを見ていると、この意味で「ずっと」という言葉を使っている場合が多い気がする。一緒に老いていくことを想定して、歳を重ねたらもっと面白いことができる、と語る彼ら。長期的な視野でアイドルであり続けることを前提にしているからこその地に足のついた戦略。元々の意図するところではないかもしれないが、変わりゆくことも織り込んでいる分、私には後者の方がいくらか無理なく健全に感じられる。だからこの意味での解釈でアイドルをやってくれていそうだということが垣間見えると本当に安心するし、ありがたいと思っている。

 

(同時に少年性を維持する装置がグループの中にしかないことで彼らにとってのグループという存在が一際特別な意味を持つこと、それが“グループ愛”のひとつのかたちとして表出しそれに沸いてしまうオタクの1人であることへの罪悪感もあるけど…)

 

時代や老いも君と見たいな

(『オンガク』SAEKI youthK 2022より)

少年性をグループの空気感の中に残しつつも少しずつ「少年」を卒業していくであろうSixTONES共に時間を重ねて、これからの景色も一緒に見ることができたら幸せだと思う。

深夜ラジオリスナーのSixTONES沼落ちブログ

はじめに

SixTONESANNが無事に改変突破したということで、喜びに任せてイチ深夜ラジオリスナーがリトルストーンとなりteamSixTONESの一員となった沼落ちブログを上げてみる。ANNからの流入にはこういうルートもあるのね、くらいの気持ちで読んでいただけると嬉しい。

 

1.SixTONESANNを食わず嫌いしていた頃

元々友人にJr.時代からの熱心なteamSixTONESがいたし、しやがれも見ていたのでSixTONESの存在自体は知っていた。ジャポもイミレも聞いたことがあって、何なら富豪刑事を見てナビゲMVに厨二の血が騒いだので初回盤で買っていた。NEW ERAやうやむやのMVも友人に勧められて見ていたし、デビュー当時の色々の話も友人から聞いて知ってはいた。ベスアでD.D.を歌うから見守ってくれと言われて見た記憶もある。

*1逆にここまできてなぜ落ちていなかったのか不思議なくらいではあるが、この段階ではSixTONESブランディングやキャラクター性、戦略性といった部分にまでは辿り着けずにいた。

 

2.2021.4.17   SixTONESANNの衝撃

 そんな私がSixTONESに一気に落ちたのはSixTONESのANNにCreepyNutsがゲストで来た週の前の週の放送(2021.4.17)がきっかけである。

 

CreepyNutsのオールナイトニッポン0に人生を救われてきた強火cnann0オタクである私はCreepyNutsが ゲストで出演すると知り、予習のために前の週のSixTONESANNを聞いた。

後に伝説となる松村北斗インセプションの起源の回である。

(ちなみにあの時は私もインセプったので違和感はなかった。インセプションの魔力恐るべし…)

 


衝撃だった。

最初の衝撃は「完璧に深夜ラジオをやっている」という点だった。リスナーとやり合って、長尺でフリートークをして、どうしようもない自分を曝け出しながらエンタメに昇華する。私のよく知っている大好きな深夜ラジオそのものだった。中でも北斗さんの自意識を拗らせた感じが大好物だった。こんなにラジオスターとしての素質のある人がいたのに自分は気付かなかったのかと恥ずかしささえ覚えた。

ラジオパーソナリティーとしてのSixTONESの沼に落ちた瞬間である。(この時点ではまだじゅりちゃんの言う通り声目的のファンである)


しかし衝撃はそこで終わらなかった。

彼らについて調べていく過程で当然アイドルとしての彼らのブランディングを知ることになる訳だが、そこでラジオで聴いた彼ら(その時はまだほくじゅりの声しか知らないわけだけど)のイメージとアイドルとしてのイメージの重なり具合の匙加減が絶妙なことを知る。ラジオの電波に乗せているキャラクターもアイドルとしてのキャラクターも、素材は同じでありながら調理方法が違う。1人の人間が見せる幅として無理がないのに、深夜ラジオに確実にチューニングを合わせてきている。

アイドルとしての彼らのブランディング、物語に強烈に惹かれて追っていくと、その圧倒的なセルフプロデュース力とキャラクター造成の魅力にも気付かされた。SixTONESの何が好きかと聞かれればいくらでも答えは思い浮かぶが、やはり根幹にあるのはこの時に感じたグループとしてのブランディングの妙への感動だと思う。

(勿論それにより演出されるSixTONESというブランドのことも大好きだ)

こうして「アイドルグループSixTONESの沼に落ちた。

 

3.SixTONESを一気に履修

そこからはあっという間だった。スト担の友人に沼に落ちたと申告し、トンパクを借りて鑑賞し、1STを取り込み*2、スト担によるブログを読み漁った。

*3

楽マガで『アトリエの前で』を読み、“アイドル松村北斗”が自担になることを確信した。

2週間も経たないうちにアルバムやシングルを自分で買い集め、ROM用のTwitterアカウントも作った。あのスピード感は(これまた深夜ラジオ経由で落ちた)CreepyNuts以来だった。

 

SixTONESを食わず嫌いしていた経緯

正直それまで、アイドルには深夜ラジオはできないと思い込んでいた。

それはよく言われるような「所詮はアイドルだから」というような侮蔑的なバイアスから生まれたものではない。寧ろ“アイドル”という概念が大好きで強烈な信念を抱いていたことによるものである。

アイドルオタクとして

私が初めて触れたアイドルは二宮和也で、ベイスト育ちである。

(そんなに古くからのリスナーではないので詳しく語るのは避けることにするが、少なくとも最近に関して言えば) ベイストとは、アイドル二宮和也がアイドルとしてのキャラクターそのままに一線をキュッと引いてお届けする番組である。「飄々とした空気感と可愛らしさ、鋭い語り口と優しい姿勢」という自ら構築した“ニノ”のパブリックイメージをそのままラジオに落とし込んだものだと私は感じている。具体的に悩んでいる人がいるような場面でのみほんの少し彼の人生哲学が顔を出すというバランスのあれは、天才アイドル二宮和也によって築かれたアイドルラジオのひとつの到達点であると思っている。

そしてその思いは、アイドルは虚であるというモットーはラジオにおいても貫かれていなければならないのだという発想に繋がっていた。

今考えると二宮和也というアイドルはかなり特殊な例だったように思う。“アイドルとして”のストーリーは意識的に見事に開示されている一方で、それ以外の部分でのストーリーはほとんど見えない底知れなさのある不思議なアイドルである。

アイドルが人生そのものを商品にする商売である以上、ストーリーの連なりは事実に立脚していなければならないし、その過程でパーソナリティがある程度(望む、望まないに関わらず)開示されていく性質がある。その傾向は近年のメディアの分散等により、アイドルが必ずしも“テレビの向こう側の人”でなくなってきたことも影響して加速しているように思う。

 

深夜ラジオリスナーとして

一方で、深夜ラジオリスナーとしての私はCreepyNutsのオールナイトニッポン0育ちである。

自分の生きづらさに悩み、漠然とどうしようもなさを抱えたまま動けずにいた私にとって、それらをエンタメに昇華させて、無理に克服させようとするような押し付けがましさなしに輝いている松永さんの生き様は救いだった。

もちろんエンタメである以上リアルそのものではないことは承知しているが、その上で生々しい葛藤や苦悩、羨望や嫉妬といったものたちを曝け出すパーソナリティーに共鳴し、名前も顔も知らない者たちが不思議と深く繋がっていくあの空間は大切な居場所である。

(いつだったか松永さんがラジオでぽろっと言っていた「ラジオは信仰だ」という言葉は本当にその通りだと思う。当たり回とか外れ回とか、面白い面白くないという概念を超えたところに、ラジオへの感謝と信仰が存在するのだと大真面目に思っている。)

深夜ラジオはどこまでもリアルに立脚していなければならないのだという発想になるのは比較的自然な流れだった。

 


「アイドルとは虚像のエンタメであり、深夜ラジオとはリアルを元にしたエンタメである」

そうだとすれば両者はその性質上両立不可能で、どちらかを犠牲にするかどちらも中途半端にすることでしか成立しないはず、と思い込んだ。アイドルも深夜ラジオも大好きなだけに、妙に強い信念を持ってSixTONESオールナイトニッポンサタデースペシャルを食わず嫌いしてしまったのである。近くにはいたのにSixTONESに出会うのが大分遅れてしまった。

(実際にはラジオと親和性の高いSixTONESと敏腕ひえおじのコラボレーションで、メンバーごとに絶妙な塩梅で虚と実の線引きをして両立させ、更にアイドルのパブリックイメージをも利用して面白くする奇跡のラジオが存在したのに…)

 

おわりに

今番組開始時当時の私に会えるなら、(欲を言えば単発回放送時の私と話ができるなら)

君のアイドル観も深夜ラジオ観も裏切らずに両立させているSixTONESという奇跡のようなグループがある。聴けば確実に沼落ちするからとにかく聴いてくれ!

と熱くプレゼンしたい。

根拠があるようで無かった強烈な思い込みのせいで、珠玉のフリートークも、推しラジオがレギュラーになる瞬間も、CMで耳にはしていたご当地ラップが出来上がる過程も聴き逃した。ゆめちゃんの話がめちゃくちゃ面白かったらしいと後からTwitterで知ったときの悔しさはとんでもなかった。

もっと言えばteamSixTONESとしてデビュー前後のSixTONESを応援することができなかった。それは多分この先もずっと悔しいままだと思う。

 

(権利関係で中々難しいだろうけど何とか上手い具合にSixTONESANNがANNJAMに登場しないかなと密かに願っている。願うだけなら許されるはず。神様仏様ニッポン放送様どうかお願いします。

叶わなかったらその時はその時で仕方ない。どんな神回も1週経てば消えてしまう儚いメディアだからこそ生まれる面白さがあることもまた理解してはいるので…いずれにせよSixTONESデビュー前からずっと応援されてきた先輩チムストの方々には感謝しかない。)

樹さんの言う通り過去は変えられないのだから、今後はリトルストーンとして、teamSixTONESの一員として、これから放送される全SixTONESANNを逃さず楽しむのみだ。

 

ANNはその時間帯も相まって、多忙な芸能人がパーソナリティを務め続けることがいかにハードであるか想像に難くない。デビュー以後ますます忙しくなったであろう彼らが毎週声を聴かせてくれていることは当たり前ではない。アイドルSixTONESに出会わせてくれて、今もなお毎週楽しみを与えてくれているSixTONESANNに心から感謝している。

 

これから先もどうか、SixTONESANNがSixTONESというストーリーの一部として続いてくれますように。来年度のSixTONESANNも楽しみにしています!改変突破おめでとうございます!

 

 

(余談だけどラジオの違法アップロードは上げない、聞かないスタンスがとにかく大事。今後も改変を突破して末長く番組を続けるためにもradikoで聞いてください。お願いします。)

 

*1:ラップ担当の声の操り方が好きだな(樹)とか優しさのある声が好きだな(ジェシー)とか、今も抱いている推しポイントのいくつかはすでに感じていた。

*2:S.I.Xが気に入って一時期狂ったように聞きながら登校していた

*3:私がストーリーとブランディングで落ちるタイプのオタクであることを見抜いて、当時の既発売分の1万字を貸してくれた友人は布教が上手すぎる。

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